脳腫瘍の増殖に「特定の神経回路」がブレーキ、名古屋市立大など発表…新たな治療法開発につながる可能性。yomiurionline
主に大人の脳に発生、悪性脳腫瘍「成人グリオーマ」の増殖を抑える神経細胞の働きを実験で明らかに、名古屋市立大などのチームが発表。特定の神経回路を活性化で、がん細胞内のカルシウム濃度が低下、増殖が抑制された。新たな治療法の開発につながる、論文が9月、科学誌ニューロンに掲載。神経細胞を活性化させるとがん細胞の増殖が促されることが分かっていた。ただ神経細胞のネットワークは、脳を興奮させる興奮性神経回路と、脳の活動が過剰にならないよう抑える抑制性神経回路がある。がん細胞の増殖は、興奮性神経回路の活性化が影響すると考えられてきたが、抑制性神経回路の影響は不明だった。遺伝子操作で、成人グリオーマ再現マウスを実験に活用。抑制性神経回路を活性化、がん細胞に与える影響を調査。結果、がん細胞が増殖する時とは異なる神経伝達物質が放出、がん細胞内のカルシウム濃度が低下、マウスの生存期間が約1か月延びた。カルシウム濃度の変化は細胞増殖の調節機能を担う、抑制性神経回路の活性化でがん細胞増殖が抑制された可能性がある。川内大輔・同大教授(腫瘍・神経生物学)は「脳にはがん細胞の増殖にブレーキをかける神経回路があることを明らかにすることができた」と話す。 広瀬雄一・日本脳腫瘍学会理事長(脳神経外科学) 「がんと神経系の相互作用を明らかにする『がん神経科学』が新たな治療法の開発につながる成果を示した」
*ふみ注:成人グリオーマ(神経膠腫);脳や脊髄を支えるグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロなど)から発生する悪性脳腫瘍、又一つ、グリア細胞の一端が示されたことになる。